2020.09.07
【Google広告】6つのアトリビューション設定について解説
皆さんはインターネット上で買い物をする際に「複数回検索をして気に入った商品を購入した」といった様な経験はないでしょうか。
例えば「自宅の炊飯器の調子が悪く新しい炊飯器を購入したい」という場合を思い浮かべてみて下さい。
図のユーザーAのように最初はどの商品にするのか具体的には決まっておらず「炊飯器 おすすめ」などの検索から、徐々に機能やメーカーを絞って購入する商品を決められたのではないでしょうか。
従来のラストクリックによる広告評価では、購入に至った最後の接点である検索語句「炊飯器 IH銘柄炊き」のみが評価の対象となります。ですが実際には図のように1度目、2度目の接点がきっかけとなり3度目の接点で購入に至る場合も多くあります。
広告運用においてはきっかけとなった接点を適切に評価することも重要で、それを可能にするのがGoogle広告の「アトリビューション」設定です。
*広告の接点とは「検索し広告をクリックする」など、Webサイト上に掲載されている広告に対しユーザーがアクションを起こすことを指します。接点の評価はそれに対応するキーワードに付与されます。
■アトリビューション
|アトリビューションとは
アトリビューションとは、ユーザーがコンバージョンに至るまでの広告の接点に対して、それぞれを評価し貢献度を割り当てる考え方をいいます。
*コンバージョン(CV:conversion)とは、Webサイトにおいてのゴール到達のことです。 サービスのお問い合わせや商品の購入など目的に応じて異なります。
従来の広告評価ではコンバージョンに至った最後の接点のみが最も重要であると評価されてきました。
アトリビューションを取り入れることで、直接コンバージョンには至っていないものの、ユーザーに対し商品の認知やコンバージョン促進の効果も間接的なコンバージョンとして評価することができます。
また間接的な接点を評価することでコンバージョンの経路全体で広告を最適化でき、貢献度の高いキーワードの入札を調整することも可能になります。
■アトリビューションモデルの解説
|アトリビューションモデル一覧
Google広告では広告の評価を適切に行うために、6種類のアトリビューションモデルから広告の評価方法を選択することができます。
成長志向型の配信は検討初期のユーザーとの接点を重視し、コンバージョンのきっかけとなる接点を増やしていくという考え方で、アトリビューションモデルの中ではより積極的に拡大したい場合に向いています。
一方で慎重型の配信は検討後期のユーザーとの接点を重視した考え方で、費用対効果も合わせながら拡大したい場合に向いています。
参考:ニーズに適したアトリビューションモデルの選択(Google広告 ヘルプ)
参考:アトリビューションモデルについて(Google広告 ヘルプ)
次にそれぞれの特徴や貢献度の割り当て方について紹介します。自社のビジネスに適したモデルを選んで設定してみて下さい。
|ラストクリックモデル
ラストクリックモデルはコンバージョンに至ったユーザーとの最後の接点のみを評価する方法です。
Google広告ではデフォルトに設定されており、コンバージョン獲得を重視した最も慎重な分析方法です。
コンバージョンに至った最後の接点を評価するという点では分かりやすい分析方法ですが、コンバージョンをアシストした接点は分からないというデメリットもあります。
|ファーストクリックモデル
ファーストクリックモデルはコンバージョンに至ったユーザーとの最初の接点のみを評価する方法です。
図の様にユーザーがコンバージョンに至るまでに複数回広告に接点を持つ場合、コンバージョンの初めの接点に重きを置くことで、商品・サービスの認知が低いユーザーに対して積極的にアプローチすることができる分析方法と考えられます。
ブランディングや認知促進を重要視する場合におすすめです。
|線形モデル
線形モデルはコンバージョンに至ったユーザーとのすべての接点を均等に評価する方法です。
すべての接点に同じ分の貢献度が割り当てられる点では分かりやすいですが、どの接点が効果的であったのかを判断するためにはある程度のデータが必要になる分析方法です。
|接点ベースモデル
接点ベースモデルはコンバージョンに至ったユーザーとの接点の中で最初と最後の接点を重視して評価する方法です。
具体的には下の図の様に、最初と最後の接点にコンバージョンの40%を割り当て、中間の接点には残りの20%を均等に割り当てます。
コンバージョンのきっかけになった接点も、最後の接点と同様に評価したい場合におすすめで成長志向型の分析方法です。
|減衰モデル
減衰モデルはコンバージョンに至ったユーザーとのすべての接点をコンバージョンまでにかかった期間で評価する方法で、7日間の半減期を使って貢献度を割り当てています。
貢献度の減衰について正確な計算方法は明らかにされていませんが、広告の接点からコンバージョンまでの期間が短いものにより多くの貢献度を割り当て、期間が長いほど貢献度は減衰して割り当てられます。
最後の接点に重きを置いている点ではデフォルトの設定であるラストクリックの考え方に近く、慎重な分析に向いています。
|データドリブンアトリビューション
データドリブンアトリビューション(DDA)はその他の5つのモデルがルールベースでコンバージョンを割り当てるのに対して、アカウントデータを用いて貢献度を割り当てています。
具体的には下の図の様にコンバージョンに至ったユーザーと至らなかったユーザーの両方の接点を比較し、コンバージョンに繋がりやすい接点を分析します。その結果から重要度を評価し貢献度を割り当てます。
参考:データドリブンアトリビューションについて(Google広告 ヘルプ)
アカウントデータに基づいて最適化できる魅力的なモデルですが、データドリブンアトリビューションを使用する為には、過去30日間にGoogle検索での15,000回以上のクリックと600回以上のコンバージョンが必要となります。
また使い始めたとしても30日間のクリックが10,000回未満、コンバージョン数が400回未満になると利用できなくなるので、安定して多くのクリックとコンバージョンが得られるアカウントにおすすめです。
■まとめ
いかがでしたでしょうか。アトリビューションについてまとめました。
アカウントの改善にあたり「成果の低いキーワードを停止する」といった施策を行うこともあるかと思います。
その際不用意なキーワードの停止を行いアカウント全体のパフォーマンス悪化を招かないように、アトリビューションモデルを活用し改善することをおすすめしています。
特にBtoBのリスティング広告では予算が少ないケースも多いので、キーワードの適切な評価を行いより効果的な広告配信を行っていきましょう。