2025.10.09

リスティング広告の費用対効果と中小経営者が理解すべき指標とは?成功事例と運用のポイントを解説!
「Web集客に興味はあるけど、リスティング広告の費用対効果はどうなの?」そんな不安をお持ちの中小企業経営者の方も多くいらっしゃるかと思いますが、リスティング広告は、自ら商品やサービスを探しているニーズが顕在化したユーザー層にピンポイントでアプローチできるため、実は非常に費用対効果の高い施策です。しかも、実際にクリックされなければ費用がかからないため、費用をなるべく抑えて売上をあげたい中小企業に向いています。
この記事では、リスティング広告がなぜ費用対効果に優れているのか、どんな指標で効果を判断するべきか、成果が出やすい業種・商材、そして予算をムダにしないための運用のポイントまで、わかりやすく解説します。
リスティング広告の費用対効果が高い4つの理由
①ニーズが顕在化した層にアプローチが可能
リスティング広告の最大の強みは、ターゲティングです。年齢層や性別、地域、時間帯が選択できることや、ユーザーニーズである検索キーワードに対して広告を表示し、商品・サービスを探している購買意欲の高いユーザー層に的確にアプローチできます。
例えば「撮影スタジオ 東京」と検索するユーザーは、東京で撮影スタジオを探している可能性が高いユーザーです。ユーザーのニーズが顕在化し検索したタイミングで広告を表示することで、スタジオの予約やお問い合わせが獲得しやすくなります。
テレビCMや新聞、雑誌、ラジオ広告などのマス広告は幅広く情報を届けることができる一方で、対象が不特定多数となり無駄打ちも少なくありません。リスティング広告は自ら検索という行動をしているニーズが顕在化したユーザーを狙い撃ちできるため、広告費用の無駄を大幅に削減し、高い費用対効果が期待できます。
②クリック課金制で無駄な広告費を抑えられる
リスティング広告は「クリック課金制(PPC:Pay Per Click)」を採用しており、ユーザーが実際に広告をクリックした時だけに費用が発生します。
広告を表示するだけでは費用がかからないため、興味のないユーザーへの無駄な広告費を避けられます。また、1日の予算上限を設定できるため、想定以上の費用が発生する心配もありません。これにより、予算が限られている中小企業でも、小額から低リスクで広告配信を始められます。
③配信設定後すぐに出稿が可能、検索結果の上位に表示できるため効果が得やすい
SEO対策ではWebサイトを上位表示させたり成果を獲得するまでには、半年から1年ほどかかることも珍しくありませんが、リスティング広告は設定後すぐに集客を開始できます。
さらに、検索結果ページでは最上部にリスティング広告が表示され、その下に自然検索のWebサイトが続く仕組みです。一般的に、ユーザーの視線は検索結果の上から下へと移動するため、自然検索結果よりも上位に表示される広告は、より多くのユーザーの目に留まりやすくなります。
④リアルタイムで成果を確認し柔軟な調整が可能
広告の表示回数、クリック数、コンバージョン(購入やお問い合わせなどの広告目標)数、費用などのデータが可視化され、「どのキーワードが成果につながっているか」「どの時間帯に反応が良いか」などを数値で把握できます。
成果の出ていないキーワードは除外設定で広告表示を停止したり、クリック率の低い広告は修正をするなど、データに基づいた柔軟な調整が可能です。このリアルタイムにターゲティングを調整できる点が、リスティング広告の費用対効果が高い理由の1つです。
費用対効果を測る2つの指標「ROAS」と「CPA」の違い
ROAS(広告費用対効果)の計算方法と適している業種・ビジネス
リスティング広告の費用対効果を測る指標は、「広告費用対効果(ROAS:Return On Advertising Spend)」を用いるのが一般的です。投じた広告費に対してどれだけの売上を獲得できたか、その割合を算出して広告費の回収率を確認できます。100%を基準とし、これを上回れば広告費を回収できている状態となります。
計算式: 広告による売上金額 ÷ 広告費 × 100(%)= ROAS
【具体例】
- 広告費:10万円
- 売上:30万円
算出結果:30万円 ÷ 10万円 × 100(%)= ROAS300%
この場合、かけた広告費の3倍の売上を獲得していることがわかります。
ROASは、ECサイトなどのWeb上で売上が完結するビジネスに最適な指標です。ECサイトでは商品ごとに価格が異なり、購入1件あたりの売上に差があるため、獲得件数ではなく売上金額で効果を測るROASが適しています
利益を考慮した損益分岐点ROAS
ROASは売上ベースの指標のため、利益率によってはROASが100%を超えていても赤字になる場合があります。そこで重要なのが「損益分岐点のROAS」です。損益分岐点のROASは、広告費を回収して利益が出始めるタイミングをみる指標です。損益分岐点のROASを下回ると赤字になるため、広告が利益を出しているかどうかの具体的な判断基準になります。
計算式: 顧客単価 ÷(顧客単価-原価)× 100(%)= 損益分岐点のROAS
【具体例】
- 顧客単価:10,000円
- 原価:5,000円
算出結果:10,000円 ÷(10,000円 – 5,000円)× 100(%)= 損益分岐点のROAS200%
この場合、ROAS200%以上で初めて利益が得られることがわかります。
CPA(アクション単価)の計算方法と適している業種・ビジネス
リスティング広告の費用対効果を測る指標として、「アクション単価(CPA:Cost Per Action/ Acquisition)」が用いられることもあります。コンバージョン単価や顧客獲得単価とも呼ばれおり、投じた広告費に対してどれだけの成果を獲得できたか、その割合を算出して1件の成果(コンバージョン)を獲得するためにかかった広告費を確認できます。そのため、CPAの値が低いほど費用対効果が高いと判断できます。
※成果(コンバージョン)とは、お問い合わせや資料請求、会員登録、サービスの申し込み、商品の購入などの広告の目標となるアクションをユーザーが達成することを指します。
計算式: 広告費 ÷ コンバージョン数 = CPA
【具体例】
- 広告費:20万円
- コンバージョン数:40件
算出結果:20万円 ÷ 40件 = CPA5,000円
この場合、1件のコンバージョン獲得に5,000円の広告費がかかっていることがわかります。
CPAは、BtoBやBtoC向けの無形商材(教育、清掃、エステ、クラウドサービス、ITサービス、会員サービス等)などの即座に売上が発生しないビジネスに最適な指標です。お問い合わせや資料請求といった広告目標は、ユーザーのアクション達成が売上に直結しないため、売上金額ではなく獲得件数で効果を測るCPAが適しています。
過去の商談率や受注率から「1件のコンバージョン獲得にいくらまでかけられるか」を事前に設定し、この目標を下回るよう継続的に運用改善していくことが重要です。
リスティング広告で高い費用対効果が期待できる業界や商材
検索ニーズが高い業界
- 緊急性の高いサービス:水回り修理、鍵の交換、害虫駆除、葬儀会社、法的相談(債務整理・離婚など)
- 地域密着型サービス:歯科医院、美容室、学習塾
- 検索されやすいサービス:通販EC、ブライダル、リフォーム会社、税理士
「水漏れ 修理 24時間」「鍵 紛失 開錠」といったキーワードで検索するユーザーは、早急な解決が必要な状況にあります。このような切迫した状況下では価格比較よりも迅速な対応を重視するため、購買意欲が極めて高く、高い費用対効果が期待できます。
また地域密着型サービスでは「歯医者 ○○区 予約」「美容室 カット 駅名」のように、ユーザーが具体的な来店意思を持って地域を限定して検索しています。「税理士 法人設立」「ウェディング 会場」といった検索も同様に、明確なニーズを持って具体的なサービス名で検索されています。
このようにユーザーが具体的な行動目的を持って検索している業界は、見込み客に直接アプローチできるため、リスティング広告で効果が出やすい傾向にあります。
収益性の高い商材
- リピート商材:健康食品の定期通販、月額制サービス、美容サロン・エステ
- 高単価商材:不動産仲介・売買、自動車、高額商品
- 粗利の高い商材:BtoB向けシステム・サービス・コンサルティング
健康食品や化粧品の定期通販や、月額利用の動画配信といったリピート購入されやすい商材は、一度獲得した顧客から継続的な売上が見込めます。例えば月額5,000円×8ヶ月継続なら顧客生涯価値は40,000円となり、初回獲得のCPAが10,000円でも十分な利益を確保できます。
また不動産仲介や自動車販売といった高単価な商材や粗利率の高いBtoB商材は、1件あたりの利益額が高く収益性を維持しやすいため、リスティング広告との相性が非常に良い商材です。
【事例紹介】オフライン営業からの転換で問い合わせ数5倍を実現
月20万円の広告費でリスティング広告を開始して、問い合わせ数5倍を実現した事例を紹介します。



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よくある失敗パターンと予算をムダにしないための運用のポイント
短期間で効果を判断しない
失敗例:1〜2ヶ月で「効果がない」と判断し、運用を停止
ポイント:最低3ヶ月、可能であれば6ヶ月は継続して効果を確認する
リスティング広告のプラットフォーム(Google広告やYahoo!広告など)では、配信開始直後から機械学習によって広告の最適化が進められます。この学習には一定のデータ量と時間が必要で、一般的に2〜4週間程度は必要とされています。
この期間中、システムは「誰に・いつ・どう配信すべきか」を学習しており、パフォーマンスが不安定なこともあります。機械学習が効果的に機能するには統計的に有意なデータ量が必要で、広告予算や1クリックあたりの単価によって、安定した成果が出るまでの期間は変動します。
また、短期間で広告成果を判断するには以下のようなリスクがあります。
- 曜日や時期による変動:週末と平日、月初と月末で反応が異なる
- 季節性の影響:業界特有の繁閑期による変動
- 競合の動き:他社の広告戦略による市場環境の変化
初動の数週間程度で「効果がない」と判断して広告を停止してしまうと、広告システムの機械学習が本来の力を発揮する前に止めてしまうことになり、それまでに費やした広告費を無駄にしてしまう結果になります。明らかな設定ミスがある場合以外は、数か月間の期間は腰を据えて運用を行う必要があります。
ランディングページ最適化の重要性
失敗例:会社概要メインのWebサイトに広告流入を誘導
ポイント:集客専用のランディングページを作成する
既存の企業サイトでも広告配信は可能ですが、広告で成果を得るには広告文の訴求とランディングページの構成の一貫性が非常に重要です。
以下のような状況では、ユーザーが途中で離脱してしまい、思うような成果が得られないことも少なくありません。
- 広告とWebサイトの内容がマッチしていない:広告で訴求している情報がWebサイトに記載されていない
- 情報が見つけにくい:記載はあるが、初見では分かりづらい構成になっている
- 入力の手間が大きい:フォームの入力項目が多く、複雑で面倒に感じる
広告のクリック率は良いのに成果(コンバージョン)が得られない場合は、クリックしてページに来訪したユーザーにとってページの内容がマッチしていない可能性があります。このようなランディングページのコンバージョン率が低いケースでは、集客専用のランディングページへの改善が効果的です。広告の訴求内容と一致した構成内容にすることで、同じ広告費でも問い合わせ数の大幅な増加が期待できます。
定期的な確認と見直しが成功の鍵
失敗例:初期設定のまま放置し、数値が悪化しても運用改善しない
ポイント:定期的にキーワード、広告文、ターゲティング設定を見直す
リスティング広告は設定後すぐに集客を開始できますが、期待する効果がすぐに得られるわけではありません。
実際の運用では、以下のような点に注意が必要となります。
- 仮説と検証:最も効果的と想定していた広告訴求やキーワードよりも、別の広告訴求やキーワードのほうが高い効果を出すことがあります。
- 市場環境の変化:効果が高かったキーワードも、競合の参入や市場環境の変化により、徐々に獲得単価が悪化することがあります。
そのため、定期的にパフォーマンスデータを確認し、状況に応じて広告の調整を行うことが成果を維持・向上させる鍵となります。
まとめ
リスティング広告は「ただ出稿すれば成果が出る」わけではありませんが、正しく設計・運用すれば予算規模の小さい中小企業でも十分な費用対効果を得られる集客手段です。
リスティング広告の費用対効果について重要なポイントは以下の4つです。
- 今すぐ客(顕在層)に広告を出せるため、無駄打ちが少ない
- 広告費の回収や収益性を示す「ROAS」、1件の成果にかかった費用を示す「CPA」
などの指標で効果を可視化できる - 成果が出やすい業界や商材では、問い合わせ数や売上が大幅に増えるケースもある
- 短期間での判断やWebサイトの質を無視した運用は失敗のもと。継続的な最適化が不可欠
特にオフライン営業が限界を感じている業種や、Webでの見込み顧客獲得に課題を感じている企業には大きなチャンスがあります。
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