2024.07.18
検索広告の部分一致が「インテント マッチ」へと変更に。活用のポイントを解説
2024年 7月から、検索広告のマッチタイプの 1 つとして使用されてきた「部分一致」が「インテント マッチ」という名称に変わりました。Google広告およびYahoo!広告 検索広告ともに変更されております。
名称変更の背景と、運用する上で気になる機能面での変更などがあるのか、使いこなすポイントなど解説します。
部分一致からインテント マッチへ、名称変更の背景
検索広告のキーワードのマッチタイプの1つとして使用されてきた「部分一致」は、機能が開発されてから20年以上が経ちました。
その間Google AIや言語モデルなどの技術進化に伴い、開発当初よりも高い精度でユーザーの検索『インテント(意図)』を捉えられるように大きく進歩してきました。
技術の発展とユーザーの検索行動の変化
スマートフォンの普及・進化に伴い、ユーザーの検索手段も多様化しています。
テキストでの検索は単純な単語によるものだけではなくなり、より具体的に文章化したものになりました。また音声入力による会話調の検索も増えています。
さらに画像検索やチャットボットでの検索などの技術が進んだことで、検索精度に対するユーザーの期待値はますます高まってきました。
『インテント(意図)』を捉えることが重要に
ユーザーが「知りたいこと」「探していること」に対してよりマッチした検索結果を提供するために、その背景にあるユーザーの「インテント(意図)」を捉えることが重要となります。
元来の「部分一致」もこうした目的のために使われてきたマッチタイプです。
指定したキーワードに加え、共通するインテントを持つ検索クエリにまで幅広く広告を表示することで、完全一致やフレーズ一致ではカバーできない検索の多様性に応えてきました。
この機能は近年のGoogle AI の進化により、飛躍的に向上します。
Googleによれば、「大規模言語モデル(LLM)によって何十億ものテキストを学習し、他のマッチタイプでは使用していない複数のシグナルを用いることで、検索クエリの表層的な意味に限らない興味関心や購買意向を捉えられるようになった」とのことです。
実際に運用している中でも、従来の部分一致では広がりが大きかった印象でしたが、2021年ごろに検索の意図・背景・語順まで組み取る機能がリリースされて以降は、よりマッチした配信ができている印象でした。
さらに、「ユーザー側のインテントだけではなく、広告のテーマやランディングページの内容、自動入札で使用している独自のシグナルに基づいた学習データなど、企業側のインテントも加味しており、より興味関心や購買意向の高いであろう検索クエリを捉えられる」ように進化しているとのことで、より高い検索精度の実現が期待できます。
こういったの機能向上の背景から、『インテント(意図)』を捉えるという機能の本質に合わせて、マッチタイプの名称が変更されました。
インテント マッチを使いこなすには
インテント マッチは、旧:部分一致のマッチタイプと機能面での変更はありません。あくまでも、近年の機能向上に伴う名称変更となります。
※2024年7月現在、Google・Yahoo!の両媒体共に名称のみで機能面の変更はないとの発表でした。
しかしながら、近年のインテントマッチの検索クエリは以前よりも幅広く変化してきている印象もあるため、名前が変わるこのタイミングで改めて、インテント マッチがどのようにしてユーザーの検索意図を捉えるのか、Google広告が掲示している具体的な例を基に確認してみたいと思います。
インテント マッチ 例1
Google 広告上で「一人旅 温泉」というキーワードを設定した場合、インテント マッチでは、「湯治の旅」「リフレッシュ旅行 おすすめ」など、キーワードとは一致していませんが検索意図が共通しているであろうクエリに対しても配信することができます。
インテント マッチ 例2
同じく「格安 スマホ」というキーワードを設定した場合、インテント マッチでは、子供用のスマホや初めてのスマホを選んでいるユーザーは、格安スマホを探しているユーザーのインテントと共通すると判断して広告を配信します。
この2つの例からも「部分」だけではなく、検索の背景にあるユーザーの『インテント(意図)』を汲み取り、より高い精度の広告配信が行えることが期待できます。
インテント マッチのメリット
インテント マッチを活用した際のメリットは主に3つです。
多様化するユーザーの検索インテントに合わせ、リアルタイムにキーワードを調整するというのはあまり現実的ではありません。
幅広い検索クエリに対応できるインテント マッチを利用することで、キーワード選定の際に思いつかなかったクエリに対応でき、より多くの潜在顧客に広告を配信できる可能性があります。
特に明確な顧客ニーズが想定しにくい新規事業では、Google AI によって自動でニーズを捉えるインテント マッチは効果的です。
そうして得られた様々な検索クエリから、実際にお問い合わせや購入などの成果に繋がるキーワードを発掘し、完全一致やフレーズ一致などで配信することでより効率を上げていくことができます。
このように上手くAI機能を利用することで運用負担を軽減し、施策面の検討などより付加価値の高い取り組みを行うことができます。
インテント マッチを使いこなすポイント
インテント マッチを最大限活用するためのポイントは主に3つです。
インテント マッチを高い精度で活用するには、Google AI 学習させるためのデータ収集や計測が欠かせません。
Google広告では、インテント マッチのパフォーマンスが安定するまでの期間は、予算やキーワードなどによって違いはありますが最低 2 週間を目安にすることが推奨されています。
将来的にはメリットがあると分かっていても、学習期間には獲得効率が悪化してしまうのではないかという懸念を抱かれる方も少なくないと思います。
その場合は、まずは小規模な範囲から配信してインテント マッチが実際にはどのように稼働するのか確認しながら進めて見てください。
その際に、「キーワードのテーマごとに広告グループを作成する」などGoogle AI が学習しやすい環境に整えることも重要です。
またインテント マッチと相性のいい自動入札と組み合わせて配信することで、より効果が期待できます。
以前は自動入札(特にCV数最大化・CV値最大化)を使用する際は、過去30日で最低30件以上のCV数が獲得できていることなどが推奨されていました。
しかしGoogle広告によれば、配信するアカウント以外の類似したアカウントからも機械学習がされるようになり、近年では配信開始直後などのCVがでていない状態でも、入札戦略をうまく働かせることができるようになっているとのことで、自動入札にも取り組みやすい環境になっています。
※ただしCV値最大化については、配信アカウント上での学習になるため、ある程度のCV数が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。検索広告のマッチタイプ 「インテント マッチ」についてご紹介しました。
自動入札などと組み合わせてうまく活用出来れば、効果的な広告配信を行うことができますので、広告にお悩みの方はぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
「リスティング広告を活用して売上を上げたい」「運用している広告のCPAを改善したい」などの課題をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせ下さい。