2021.06.24
【Facebook広告】iOS14アップデートの影響と対策~ドメイン認証・合算イベント測定~
先日リリースされたAppleのiOS14では、プライバシーポリシーについて大きな変更があり「アプリのデータ取得の際に利用者に許可を求める」ことが義務化されました。
その為ユーザーが許可をしない場合、一定のデータ取得が出来なくなり「CVが正しく計測出来なくなる」など広告配信にも大きな影響が出ることが予想されています。
Facebook広告では、iOS14に対応できるようドメイン認証や合算イベントの設定を推奨していますが、「設定方法が分かりづらくまだ対応できていない」「対応はしたけれど具体的にはどんな影響があるのか分からない」といった方も少なくないと思います。
今回はFacebook広告におけるiOS14アップデートについて、及ぼす影響と広告主が取るべき対策をまとめました。
各設定方法については、下のリンクから移動できます。
Webサイトのドメイン認証
・ドメインの認証方法「HTMLファイルのアップロード」
・ドメインの認証方法「メタタグ認証(Meta-tag Verification)」
・ドメインの認証方法「DNS確認」
合算イベント測定の設定方法
■Facebook広告におけるiOS14アップデートの影響
IOSのアップデートの内容
iOS14アップデートによりApp Storeのアプリを対象に、iOS 14デバイスでトラッキングの許可を求めるオプトイン設定画面を表示することを義務化する制度が開始されました。
※Appleが定義する「トラッキング」とは?
「トラッキング」とは、ターゲット広告や広告効果測定を目的として、Appで収集した特定のエンドユーザーまたはデバイスに関するデータ(ユーザーID、デバイスID、プロファイルなど)をサードパーティのデータと紐付ける行為や、Appで収集した特定のエンドユーザーまたはデバイスに関するデータをデータブローカーに渡す行為を指します。
・他社が所有するAppやWebサイトから収集されたユーザーデータに基づいて、自分のAppの中でターゲット広告を表示すること。
・デバイスの位置情報データやEメールのリストをデータブローカーに共有すること。
・他のデベロッパのAppで同一ユーザーを再ターゲットしたり、類似するユーザーを探したりする目的で情報を利用するサードパーティの広告ネットワークに、Eメール、広告ID、その他のIDなどのリストを共有すること。
・自分のAppで収集したユーザーデータを、他のデベロッパのAppで収集されたユーザーデータと組み合わせてターゲット広告の表示や広告効率測定を行うサードパーティのSDKをAppに組み込むこと(これら以外の目的でそのSDKを使用する場合も含む)。たとえば、ログインのSDKによって自分のAppで収集したデータを、他のデベロッパのAppがターゲット広告を表示するために利用することがこれに該当します。
引用:https://developer.apple.com/jp/app-store/app-privacy-details/
Facebook広告に及ぼす影響① 広告作成の制限事項
|iOS 14のアプリキャンペーン
AppleのSKAdNetwork APIからのレポートに制限があるため、iOS 14用のアプリインストールキャンペーンを別途作成する必要があります。その他次の項目にも注意が必要です。
|Webサイトイベントコンバージョンのキャンペーン
既存の広告アカウントを使用しiOS 14ユーザーに広告を配信することはできますが、次の項目には注意が必要です。
Facebook広告に及ぼす影響② レポートの制限事項
iOS 14デバイスからのレポートに制約がかかる為、広告マネージャ、広告レポート、広告インサイトAPIでは次の制限事項が想定されています。
|レポートの遅れ
コンバージョンイベントは発生時ではなく、SKAdNetwork APIからFacebookに報告された時点でレポートされるようになります。データ反映までに最大3日のタイムラグが生まれる可能性があります。
|統計モデルによる推定結果
SKAdNetwork APIはキャンペーンレベルで集計された結果をFacebookに報告します。その為、広告セットレベルと広告レベルの結果には統計モデルによる推定結果が使用される可能性があります。
<推定結果について>
Facebook広告では、後述する「合算イベント測定」の設定によってiOSでトラッキングを拒否したユーザーについてもデータ取得ができるよう対応しています。しかし全てのデータを取得できるわけではありません。
取得できていない実績を把握し、広告の成果確認をカバーする為、Facebook広告では過去と未来のデータをシステムで分析をして「コンバージョンの推定結果」を算出しています。
ここで気になるのが「実数値と推定結果のズレ」についてですが、iOS14リリース後Facebook広告が広告主に行っている調査では、現時点で実数値とのズレは見られないとの結果が得られているとのことです。
※アトリビューション期間7日以前は推定数値でもカバーされません、あくまでもアトリビューション期間内の数値です。
|配信とアクションの内訳は非対応
SKAdNetwork APIから送信されるデータはキャンペーンレベルで集計された結果となる為、アプリコンバージョンとウェブコンバージョンのいずれについても、配信とアクションの内訳(年齢、性別、地域、配置など)はサポートされなくなります。
|アカウントアトリビューションウィンドウ設定の変更
2021年1月より、デフォルトのアトリビューション設定が変更されました。これまでの「28日間のクリックスルー、28日間のビュースルー、7日間のビュースルー」の各アトリビューションウィンドウはサポートされなくなります。
現在は次のアトリビューションウィンドウがサポートされています。
Facebook広告に及ぼす影響③ ターゲット設定の制限事項
iOS 14デバイスでトラッキングを許可しないユーザーが増加すると、カスタムオーディエンスのサイズが小さくなる可能性があります。その為Webサイトを訪問したユーザーを対象にするリマーケティングなどのキャンペーンに影響を及ぼすことが予想されます。
サイズが小さくなる可能性があるオーディエンス
Facebook広告に及ぼす影響④ ダイナミック広告の制限事項
ダイナミック広告はユーザーの閲覧履歴などのデータから、最適な広告クリエイティブを自動で配信するリターゲティングの広告手法です。その為iOS 14デバイスでトラッキングを許可しないユーザーが増加すると、対象のオーディエンスのサイズが小さくなる可能性があります。
■Facebook広告におけるiOS14アップデートへの対策
Facebook広告ではiOS14アップデート後も広告主が広告のパフォーマンスを計測できるよう、アプリイベントAPIやピクセルを使用した対策が取られています。
アプリ向け、Webサイト向けのそれぞれの対応について紹介します。
対策①アプリ向け広告
アプリ向けの広告配信では、FacebookのiOS用SDKをバージョン8.1にアップデートすることが推奨されています。
FacebookのiOS用SDKバージョン8.1はAppleのSKAdNetwork APIをサポートしており、アプリインストール広告の効果測定が可能になっています。
アップデートに対する注意事項
対策②Webサイト向け広告
Webサイト向けの広告配信では「Webサイトのドメイン認証」と「合算イベント測定」の2つが推奨されています。
それぞれの内容について紹介します。
|Webサイトのドメイン認証
Facebook広告では、これまでもコンテンツの保全性の観点からドメイン認証が推奨されていました。ドメインの所有権を管理することで、ドメインの不正使用や悪質業者による偽情報の拡散などを防ぐことができます。
今回iOS 14への対策として合算イベントを設定するにあたっては、リンクやその他のコンテンツを編集する権限を管理する「ドメイン認証」が必須となります。
|合算イベント測定
合算イベント測定は、iOSによるトラッキングを拒否した場合にもFacebookのログイン情報を使用し、データ収集をサポートするというものです。※但し、全てのデータをカバーできるわけではありません。
合算イベントはドメイン毎に最大8件まで登録でき、最高優先度には4つまで設定できます。優先度の高いものから正確にデータを取得するようシステムが働く為、登録完了や登録完了の前のページなどより重要なデータを最高優先度に設定して下さい。
※あくまでイベントの数で判断する為、1つのイベントに複数のURLを設定していても問題ありません。
例)登録完了イベント:URL①https://~/thankyou1 とURL②https://~/thankyou2 の2つ
■Webサイトのドメイン認証と合算イベント測定の設定方法
「Webサイトのドメイン認証」と「合算イベント測定」のそれぞれの設定方法について紹介します。
Webサイトのドメイン認証
・ドメインの認証方法「HTMLファイルのアップロード」
・ドメインの認証方法「メタタグ認証(Meta-tag Verification)」
・ドメインの認証方法「DNS確認」
合算イベント測定の設定方法
Webサイトのドメイン認証の設定方法
ステップ1:まず認証したいドメインをビジネスマネージャーに追加します。
広告管理画面から「ビジネス設定」をクリックし「ブランドセーフティ」から「ドメイン」のタブを開きます。
ステップ2:「ドメイン」の設定画面で「追加」をクリックすると、ポップアップが表示されるので、追加したいドメインを入力します。
ステップ3:ドメインの確認に使用する方法を選択します:HTMLファイルのアップロード、メタタグ認証(Meta-tag Verification)、DNS確認。
ステップ4:ドメインの認証方法は、HTMLファイルのアップロード、メタタグ認証(Meta-tag Verification)、DNS確認の3パターンがあります。
基本的には、HTMLファイルのアップロードがおすすめです。
それぞれの手順について紹介します。
<ドメインの認証方法「HTMLファイルのアップロード」>
HTMLファイルをWebディレクトリにアップロードし、BusinessManagerでドメインの所有権を確認します。※このタイプの検証を実行するには、Webサイトのルートフォルダーへの管理者アクセスが必要です。
①まず「HTMLファイルのアップロード」のタブをクリックします。
②「HTML verification file」をダウンロードします。
③該当のドメインのルートディレクトリ内に、ダウンロードしたHTMLファイルをアップロードします。
※ルートディレクトリとは、コンピューターのファイルの構造において最上階層のディレクトリ(あるいはフォルダ)のことです。 あらゆるファイルを格納している大元です。
④ファイルをアップロードしたら「http://〜」のURLをクリックして、アップロードができているか、エラーが出ていないかを確認してください。
⑤「認証する」をクリックして完了です。
HTML検証ファイルは、検証のために定期的にチェックされる可能性があります。Webサイトのルートディレクトリに残して置いてください。
<ドメインの認証方法「メタタグ認証(Meta-tag Verification)」>
ドメインホームページのHTMLの<head>セクションにメタタグを追加します。
Amazon・楽天のようなECプラットフォームを使用している場合や、他社の予約ページをレンタルしている場合など、ルートディレクトリ(サーバーの最上部)にHTMLアップロードができない場合にはこちらの方法で認証してください。
①まず「メタタグ認証(Meta-tag Verification)」のタブをクリックします。
②<meta name=”facebook-domain-verification” content=”〜” /> をコピーします。
③コピーしたメタタグをサイトのHTMLの<head>から</head>の間に直張りして追加します。
④メタタグの設置が完了したら、実際にサイトのソースを見て正しく設置されているか確認します。
⑤「認証する」をクリックして完了です。
メタタグは、検証のために定期的にチェックされる可能性があります。HTMLの<head>内に残して置いてください。
<ドメインの認証方法「DNS確認」>
DNS TXTエントリ(またはレコード)をDNSレコードに追加して、所有権を確認します。※DNS TXTエントリをDNSレコードに追加するために実行する必要のある正確な手順は、ドメインホストによって異なる場合があります。
①まず「DNS認証」のタブをクリックします。
②ドメインの所有者のDNSレコードセクションに移動し、FB管理画面にあるTXTエントリを追加します。(TXTレコード facebook-domain-verification=〜 をコピーして追加)
③[ホスト]フィールドに@を追加します(ドメインホストで必要な場合)
④ドメインのウェブサーバー全体に反映されるのを待ちます。(最大72時間かかる場合があります。)
⑤反映後に「認証する」をクリックして完了です。
TXTエントリは、検証のために定期的にチェックされる可能性があります。DNSレコードに残して置いてください。
ステップ5:ドメイン認証の完了すると、管理画面でドメインの横に「認証済み」と表示されます。
ステップ6:最後にパートナー権限を付与します。
ドメインの認証が、1つのビジネスマネージャでしか行えない為、広告運用を代理店に委託している場合は認証したドメインを代理店側のビジネスマネージャーと紐づけする必要があります。※ドメイン認証後、複数のパートナーに共有することは可能です。
ドメイン認証されたアカウントでは合算イベント測定が使用できるので、より効果的な広告運用が期待できます。
①「ビジネス設定」のドメイン一覧から「パートナーを割り当て」を選択します。
②ポップアップが表示されるので、パートナー(共有相手=代理店など)のビジネスIDを入力してください。
③「次へ」をクリックして完了です。
※ビジネスIDは、「ビジネス設定」→「ビジネス情報」または、自身のビジネスマネージャのURL末尾の数字から確認できます。
合算イベント測定の設定方法
合算イベント測定の設定前に次の点を確認して下さい
①Facebookのビジネスマネージャーのアカウントがあり、管理者権限である
②Facebook広告を配信するWebサイトのドメイン認証が済んでいる
③Facebookピクセルをサイトに設置している
ステップ1:Facebook広告のイベントマネージャーを開き「合算イベント測定」を選択し「ウェブイベントを設定」をクリックします。
ステップ2:ウェブイベントの設定画面でイベントを設定するドメインを探します。
「認証済みのドメイン」をクリックすると、設定済みのイベントが確認できます。新しくイベントを設定する場合は「イベントを管理」をクリックします。
*ドメインをまだ認証していない場合は「ドメイン認証」を進めてください。
*注意事項が表示されますが、そのまま「編集」で進んで問題ありません。
ステップ3:右側にある「イベントを追加」をクリックします。
「ピクセル/カスタムコンバージョン」から設定したいイベントを選択します。
ステップ4:一番上の最高優先度から一番下の最低優先度まで、イベントをドラッグ&ドロップして移動できます。優先度を決定し、右下にある「送信」をクリックすれば、設定完了です。
■まとめ
いかがでしたでしょうか。Facebook広告におけるiOS14アップデートの影響とその対策についてまとめました。
媒体仕様の変化に合わせて適切に調整していくことが、広告で成果を出していく上でとても重要です。「まだ対応できていない」という方はもちろん、すでに対応されている方もイベントの優先度など細かな部分の設定について、見直してみてはいかがでしょうか。
「Facebook広告やリスティング広告を活用して売上を上げたい」「運用している広告のCPAを改善をしたい」などの課題をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせ下さい。